明渡訴訟,強制執行といった裁判手続を踏むとなると,裁判所が行う訴状の送達が直ちに完了するか否か,1回目の裁判期日が直ぐ入るかといったことの他,被告の対応や,被告に弁護士が付くかどうかといった事情にもよりますが,明け渡しが実現できるまでに,少なくとも3,4か月程度の時間と,明け渡しをもとめる部屋の広さや物の多さにもよりますが数十万円の実費が掛かってくることは覚悟しておく必要があります。事情によっては更に時間と費用が掛かることもあります。

 そのため,早期に話し合いで解決できるのであればそれに越したことはありません。弁護士名義で内容証明郵便を送ったことをきかっけに,話し合いが進み3か月も経たない早いタイミングで任意の明け渡しを実現できるケースはもちろんあります。

 ただ,賃借人が夜逃げしてしまった,或いは入居している様子はあるけれども一切連絡が取れない,といったような場合には,残念ながら明渡訴訟,強制執行を経て明け渡しを実現せざるを得ません。
 また,賃借人と連絡が取れ話し合いができる場合であっても,話し合いを通じた解決が見込めないようなケースであれば,裁判外での話し合いでの解決にこだわる必要はありません。のらりくらりとした賃借人のペースに合わせてしまうと,話し合いを引っ張るだけ引っ張られ,それにも関わらず話し合いでは解決せず,結局は明渡訴訟,強制執行といった法的手続を執らなければならないことにもなりかねないからです。したがって,粛々と法的手続を進めて行くことが一番の近道であることも少なくありません。

 実際には,家賃滞納の期間や滞納・交渉の経緯,賃借人,入居者や連帯保証人の属性なども加味しながら,仮処分申立の必要性,滞納賃料の回収可能性なども考慮し,どういった手続で進めることがベストであるのかを,それに掛かる時間と実費の目安と共にご説明差し上げます。

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